T細胞と樹状細胞の共培養は、in vitroの免疫微小環境で行える複数の化合物評価のスピーディーな手法です。半自動化されたプラットフォームによる化合物のアレイ化スクリーニングは、急速に変化する業界での意思決定を支援する堅牢なデータをお届けします。
混合リンパ球反応(MLR)アッセイは、60年代半ばに、移植研究における移植片対宿主反応を評価するために考案されました1。現在、このアッセイは、臨床試験に向けてメディカルクリアランスを得るための規制当局の標準手順の一部です。このブログでは、このアッセイの改訂された側面と、Horizonのサービスがお客様の医薬品開発にどのようにお役に立つかを示します。
混合リンパ球反応アッセイとは?
医薬品開発において、混合リンパ球反応アッセイ(MLR: Mixed Lymphocyte Reaction)は、化合物の免疫原性の測定に用いられる手法であり、一般に、低分子医薬またはバイオ医薬品の免疫系における潜在的な影響を評価するために用いられます。化合物のin vitroでの免疫調節効果を評価するために、リンパ球の増殖とサイトカインの産生を同種異系(アロ)反応(免疫微小環境をモデル化するために別ドナー由来の細胞を混在させ培養)で観察します。刺激されるリンパ球細胞集団に基づいて、2種類のMLR、one wayおよびtwo wayアッセイが一般的に用いられます。最も一般的なのはone way MLRで、1つのリンパ球集団のみが応答または増殖します。two way MLRは、双方の細胞集団が増加する可能性があるという点でone way MLRとは異なり、特有の実験デザインを考慮する必要があります。
リンパ球は、同種異系(アロ)共培養の環境で目的の化合物で処理した後に単離することができます。データを得るには、MLRの細胞培養ワークフローに、サイトカインの放出を測定するためのハイスループットフローサイトメトリーおよび関連する検証済みのツールが含まれます。
同種異系(アロ)単球由来樹状細胞(Mo-DC)―T細胞アッセイはどのように機能しますか?
MLRを行う多くの手法があります。最も一般的なのはT細胞を用いたMLRで、抗原提示細胞と末梢血リンパ球の2種類の細胞を用います。健常人ドナーの末梢血から得られた単球をin vitroで分化し、抗原提示細胞である樹状細胞(Mo-DC)を作製します。次に、別個体から単離された精製CD3+Tリンパ球をMo-DCと共培養すると、T細胞が増殖し、樹状細胞の表面に存在する同種異系(アロ)の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に応答します。薬剤は相互作用の効果を調節することができ、このアッセイは新規化合物の免疫調節能の有効性を評価するための強力なツールです。
創薬プロジェクトで混合リンパ球反応アッセイを検討する必要があるのはなぜですか?
MLRは、薬剤に対する細胞の微小環境反応を測定する反応性テストであり、化合物が人体とどのように相互作用するかを示します。医薬品開発においてこのアッセイを用いて、T細胞―抗原提示細胞間の相互作用を潜在的に増強、減弱、または再分極させるがん免疫療法、ワクチン、およびその他の治療法の有効性がチェックされます。広く知られているがん免疫のアプリケーションとは別に、MLRのアプリケーションは、自己免疫3、炎症4、生殖免疫学5に渡り、またCOVID-19合併症シナリオ6の免疫シナプスのモデルとして活用されることもあります。言い換えれば、創出された化合物が免疫原性になり、望ましくない免疫応答を引き起こす可能性があるため、この評価は医薬品開発パイプラインの前臨床段階にとって必要不可欠です。このような事象が発生した場合、患者はアレルギー反応を発症するか、アナフィラキシーショックにかかる場合があります。もしくは治療効果の減弱や望ましくない自己免疫をもたらす可能性もあります。EMAやFDAなどの規制当局の承認の取得は医薬品開発パイプラインにとって不可欠ですが、多くの薬剤候補群は二次的免疫効果がないことを示していません。よって初期段階での評価が必須です。
HorizonのMLRアッセイ
私たちは、免疫原性を分析するバイオ医薬品試験パートナーとしてご支援できます。樹状細胞とT細胞間の相互作用を調節してT細胞応答を促進、減少、または再分極させるような薬剤候補品のためのプラットフォームを提供し、お客様の化合物の免疫原性の有無をスピーディーに回答します。
Key Advantages
- 明瞭で再現性のある堅牢な定量データ
- 合理化されたプロセス:ワークフローの簡略化
- それぞれ8つのリードアウトポイントをもつ単剤のアッセイアレイに最大16種の化合物
- クライアントの被検分子が細胞集団全体でどのようにふるまうかをよりよく反映するための複数ドナー
リードアウト
- サイトカイン分析– HTRF
- 細胞増殖分析–フローサイトメトリー
Written by Antonio Serrano-Gomez, Senior Product Manager - Immunology at Horizon Discovery
With extensive experience in basic, translational and commercial life science, Antonio is working in delivering screening services based on primary immune cells at Horizon Discovery, focused on the growing needs of our biotech and pharma customers. He holds a professional degree in Medical Technology and a Doctorate in Biochemistry from the University of Chile. Currently is also studying for an MBA at the University of Winchester.
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References
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- Tourkova, I. L., Yurkovetsky, Z. R., Shurin, M. R. & Shurin, G. V. Mechanisms of dendritic cell-induced T cell proliferation in the primary MLR assay. Immunol. Lett. (2001) doi:10.1016/S0165-2478(01)00235-8.
- Lee, Y. E. et al. The synergistic local immunosuppressive effects of neural stem cells expressing indoleamine 2,3-dioxygenase (IDO) in an experimental autoimmune encephalomyelitis (EAE) animal model. PLoS One (2015) doi:10.1371/journal.pone.0144298.
- Matsui, F. et al. Induction of PIR-A/B+ DCs in the in vitro inflammatory condition and their immunoregulatory function. J. Gastroenterol. (2018) doi:10.1007/s00535-018-1447-1.
- Talwadekar, M. D., Kale, V. P. & Limaye, L. S. Placenta-derived mesenchymal stem cells possess better immunoregulatory properties compared to their cord-derived counterparts-a paired sample study. Sci. Rep. (2015) doi:10.1038/srep15784.
- Izrael, M. et al. Astrocytes Downregulate Inflammation in Lipopolysaccharide-Induced Acute Respiratory Distress Syndrome: Applicability to COVID-19. Front. Med. 8, 740071 (2021).