遺伝子ノックダウン実験は、20年以上にわたり遺伝子機能を研究する者にとって基礎となる技術でした。CRISPRiは、遺伝子発現調節研究にまったく新しい”レイヤー(階層)” ― RNAi様の効果を発揮するCRISPRベースのメカニズム―を追加します。
私共は遺伝子ノックダウンを良く知っています。私共はsiRNAを使用した遺伝子ノックダウンのパイオニアであり、過去20年間にDharmacon siRNA試薬を利用した60,000以上の論文を誇りに思っています。
CRISPRmod CRISPRiの導入に伴い、Dharmaconチームは遺伝子発現調節を実現するための新しいツールを提供することになりました。CRISPRiでは、不活化されたCas9複合体を利用して転写をブロックします。CRISPRiはノックダウンであり、ノックアウトではありません。これは、”CRISPR without the cut”です。
DNA to RNA to protein、それは分子生物学のセントラルドグマです。研究者は、遺伝子機能の解明のためにこの基本原理をすべての段階で研究しています。Horizonはセントラルドグマにまたがる様々なツールとサービスを持っています(Figure 1)。CRISPRko(CRISPRノックアウト)はDNAまたはゲノム配列を恒久的に改変し、RNAiは2本鎖RNAと相補的な配列を持つmRNAを分解し、CRISPRi(CRISPR遺伝子転写抑制)およびCRISPRa(CRISPR遺伝子転写活性化)はCRISPRmodファミリーの一部としてmRNA転写を調節します。
CRISPRmod CRISPRiにより、遺伝子ノックダウンアプローチを探している研究者はいくつかの重要な新機能を取り入れることができます。Horizonは、新しいリプレッサーコンストラクトdCas9-SALL1-SDS3(特許出願中)を設計しました。この2つの転写制御因子で構成されるリプレッサーは、dCas9-KRABなどの既存のdCas9リプレッサーシステムと比べて大幅に改善されています。HorizonのdCas9-SALL1-SDS3リプレッサーは、幅広い細胞タイプの遺伝子をノックダウンし、より長い日数(5〜7日)でより高い効果(60〜80%のノックダウン)を実現します。
CRISPRmod CRISPRiのもう1つの利点は、化学合成シングルガイドRNA(sgRNA)を用いた際に、効果的な性能を発揮するかに基づいてリプレッサーコンポーネントを選択したことです。私共の実験によると、以前から使用されているdCas9-KRABは、化学合成sgRNAと併用した場合の性能が少し不均一でした。私共の新しいリプレッサーは、化学合成sgRNAと用いた際に非常に効果的であり、既成のヒト遺伝子ターゲットの完全な配列を提供します。Figure 2の蛍光画像でわかるように、mRNAおよびタンパク質レベルで効果的なノックダウンが見られます。
CRISPRiは小分子薬の効果のミミック、または複数遺伝子の同時ノックダウンに使用することができる理想的なプラットフォームです。これらへの応用は、CRISPRiの多くのユニークな機能が研究に非常に役立つと思われる例の一部です。
CRISPRiはCRISPRの新しい”レイヤー(階層)”です。これは、遺伝子発現調節を研究するための新しい階層です。Welcome to the toolbox, CRISPRi! あなたの遺伝子ノックダウン実験に適しているかどうか、および実験の開始方法については、ぜひHorizonにお問い合わせください。
Written by Dr. Steve Smith
Steve Smith joined Horizon Discovery in 2019 and has been part of the company’s dedicated focus on providing market-leading tools for examining gene function. At Horizon Discovery, Steve uses his 13 years of commercial, scientific experience to help our customers choose the right tools for their application.